コラム・エッセイ
No.88 常・日頃の…。
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子11月23日(勤労感謝の日)に“森麻季&錦織健・アメイジング・ソングス〜愛と煌めきを歌にのせて〜”と、題したコンサートに行った。
友人のS女史は葉書魔だ。新聞・市広報等を隅から隅まで目を通し、催し物を見つけると、いち早くはがきを出す。
そして、不思議なのは、その抽選に当たることが多いのだ。私はこれまで何回もその恩恵に浴している。
今回も、あたりー。それも、2組当たった。そして、それは2枚が1組だったのだあー。しかも、私の前の席には、知人が兄弟で座っていらっしゃった。
音楽会はヴェルディの「椿姫」を、デュエットで歌われてはじまった。第1部は、プッチーニやドヴォルザーク等々、歌劇が多かった。2部は、山田耕筰の「からたちの花」「この道」、服部良一「蘇州夜曲」スッペの「恋はやさしい野辺の花」等、私が小学生の頃に聞いた歌だったりして、ふたりは独唱だったり合唱だったりと、身を乗り出すようにして、聴き入った。
話が前後するのは、私のボンクラな頭のせいだが…。葉書で当たった“招待席”は、会場、舞台から向かって、左側が前から後までという、大人数だった。
私は親友のUさんを誘って出かけたのだが、Uさん夫妻、特に夫君のM氏はオペラ通である。Uさん宅へ遊びに行くと、必ず、CDを2、3曲、神妙に聴かなければ帰してもらえない…のである。
何事にも用意周到なUさんは、オペラグラスを私に貸してくれた。
オペラグラスで観る森麻季は若い…が、錦織健は少し歳を感じた。はからずも彼は「まだ徳山市の頃にも来たことがあります」と、聴衆を笑いに誘った。
舞台と観客が一体となり、うっとりしていたら、Uさんが「手提袋がない」と言うのだ。我が家で昼食を取り、その時は確かに持って出た、と言うのだ。
落ちついて考えた末、
「もしかしたら、行きのバスの中かも…」Uさんは気もそぞろになって落ちつかない。
とにかく、帰りのバスで運転手さんに聞こう、ということにした。帰りのバスはとても混んでいた。Uさんは終着駅の徳山駅で最後に下車し、恐る恐る問う。
「ああ、手提袋ですネ。座席に置いてありましたので、駅前の切符売り場にあずけて置きましたよ」
Uさんの顔が、ぱっと輝いた。私はUさんとよく行動を共にするが、彼女の最後はいつも、ハッピーエンドで終わることが多い。
常日頃の、行動の“たまもの”であろう。
