2026年06月25日(木)

コラム・エッセイ

再び 睦月(一)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 令和6年が明けました。新たな気持ちでそれぞれの目標に向かって行動していることでしょう。自らに課した夢に向かって挑戦する姿は清々しく映ります。齢を重ねると、与えられた命を愛おしみながら一日一日を大切に、との思いがあふれます。

 正月早々、最大震度7の能登半島地震、羽田空港の日航機と海上保安庁航空機の衝突など心痛む天災や事故に見舞われました。平穏無事な一年を願いながら現実はそうならないのが常です。 元日の新聞コラムに共感した後の出来事に言葉を失いました。

 「澄みきった青に、くっきりコントラストを描く白。『大空に羽子の白妙とどまれり』(高浜虚子)。清明な新年の情景である。(中略)青空を飛びかうのがミサイルでいいはずはないし、内外の社会の分断も食い止めねばならぬ。虚子をもう一句引く。『口あけて腹の底まで初笑』。そんな世の中をつくり、子供たちに手わたす責任が私たち大人にはある」(日経・春秋)。さらに「穏やかな元日を久しぶりに迎えられた。子どもや孫が帰省している家庭もあるだろう。(中略)年の始めに小さな幸せをかみしめながら、苦しんでいる人々を忘れず思う。ことしこそ、『ただの年』となって誰もが笑顔で生きられますようにー」(中国・天風録)。

 今年も百通を超える年賀状が届きました。高齢や終活を機に「これで年賀状を仕舞いたい」と一区切りつける人、「アナログ人間にて友人、知人を大切に致したく、平素のご無礼を賀状に代えています」「88歳になります。思いもよらぬ齢まで生きていて申しわけない思いです」とつづる人。さまざまな人生模様が描かれます。72歳を迎える人は「心豊かに前進できれば」として、虚子門人の中村汀女の句を添えていました。

 いづくともなき合掌や初御空

 新年に詠む俳句が新春詠です。人々が幸せに暮らせるように寿ぐ役目があります。寿ぐとは言葉で祝うこと。言祝ぐとも書きます。朝日新聞新春詠に俳人、大串章さんが寄せた一句。

今年こそ今年こそはと生きて来し 

 苦しみ多い人の世の姿を十分わかったうえで新しい年の抱負を俳句に詠みます。新しい年に希望を託すことで生き抜いてきたのです。能登の被災地は深刻です。日本列島に支援の輪が広がります。「頑張って!朝の来ない夜はない」。神戸から、東北から、熊本から被災地で苦しんだ人からの声援が届きます。人の情けが人を動かします。

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