2026年10月23日(金)

コラム・エッセイ

再び 如月(二)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 如月から弥生へ。「きさらぎ」も「やよい」も美しい響きです。凛として気品を感じる如月。ふんわりと優しさが伝わる弥生。梅から桃、桜へと花の季節は動きます。

  冬来りなば春遠からじ

 英国の詩人シェリー「西風に寄せる歌」の末尾にある一節です。厳しい冬のあとには暖かい春がやってくる、つまり辛い不遇の時を耐え抜けば、その先には明るい希望の日々が待っているとの意味で使われます。救いの言葉でもあります。

 上田敏が訳したとも言われますが、定かではありません。彼の名訳として『海潮音』の「春の朝」が有名。英国の詩人ブラウニングの訳詩です。

  時は春、
  日は朝、
  朝は七時、
  片岡に露みちて、
  揚雲雀なのりいで、
  蝸牛枝に這ひ、
  神、そらに知ろしめす。
  すべて世は事も無し。

 あまりに名調子なので学生時代によく口ずさみました。言葉の響きが胸に刺さります。言葉が相手の胸に届いた時に共感が生まれます。辞書にある言葉の一つ一つが生きた言葉になった時、言葉はその人と他者とをつなぎます。いろんな人生経験を経て言葉の深い意味を理解します。

 講演を聴いて心の奥底に響くのは人生経験に裏打ちされたお話です。実践を通してその人が会得した言葉です。言葉に力があります。言霊ともいえます。建築家の隈研吾講演会(1月14日・光市民ホール ときもり徳山デッキギャラリー開設記念)、元明石市長の泉房穂講演会(2月15日・県周南総合庁舎さくらホール 徳山商工会議所青年部オープン例会記念)のお話も感銘を覚えました。

 私も折に触れて講演する機会があります。芸術と社会との出合い、アートマネジメントの実践について、児玉源太郎の生涯について。わかりやすく話すのは実に難しいです。ひとり芝居を演じるだけの覚悟が求められます。

 周南文化協会では周南市ゆかりの人をお招きして講演会を毎年開催しています。今年で13回を数えます。今回の講師は徳山高校OBで「AERA」元編集長の浜田敬子さん。テレビでも活躍中。「ジャーナリストとして生きる-ジェンダー後進国から抜け出すために-」と題して。2月25日午後2時から周南市文化会館大ホール。入場無料。ぜひお出かけください。

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