コラム・エッセイ
再々長月(二)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)
残暑が厳しい毎日です。17日は中秋の名月。十五夜でした。お月見を楽しめましたか。19日は彼岸の入り。「暑さ寒さも彼岸まで」と昔から言います。心身ともに秋を実感したいところです。
折々の季節感を情緒豊かに綴った『枕草子』。清少納言は「春はあけぼの」「夏はよる」「秋は夕暮」と書き出します。「夕日のさして山のはいとちかうなりたるに、からすのねどころへ行くとて、みつよつ、ふたつみつなどとびいそぐさへあはれなり」と。
空を見上げると、巻雲や巻積雲が広がります。巻積雲はその模様から鱗雲や鯖雲とも呼んでこの雲が現れると鰯の大漁につながることから鰯雲と言う人もいます。雲の姿に秋を感じ、夕暮れ時のあかね空に郷愁を誘われ、名月や十六夜、立待月、居待月にわが心を映し出します。実りの秋に何を思われるでしょうか。
仕事と趣味を両立させて充実した人生を送っている人たちがいます。家事も加えると何役もこなすのは大変です。いろんな人の協力があって初めて成果を上げることができます。関わる人たちもそのことによって影響を受けて好循環が生まれます。
季節を重ねて苦節10年。「周南をオーケストラのある街にしよう」と2014年1月11日、楽団を結成。その年4月5日にデビュー演奏会、9月13日に第1回定期演奏会を開催して以来、毎年2回の定演を周南市文化会館で続けてきました。周南フィルハーモニー管弦楽団が今年10周年を迎えました。今月14日に第20回演奏会を。驚異的な実績に舌を巻きます。
モーツァルトからベートーヴェン、シューベルトとプログラムを重ね、今回の定演に選んだのはブラームス交響曲1番。50分を超える大曲に挑戦、迫力のある演奏に拍手が鳴り止みませんでした。42年前の文化会館杮落としでNHK交響楽団が演奏したのもブラームス1番。あの日の興奮がよみがえりました。小学校2年まで周南市で育ったバイオリニスト内山優子さんもコンサートマスターとして客演、防府フィルハーモニーも加わって盛り上げました。記念演奏とあって地元の女声合唱団あい、男声合唱団メールソレイネも共演、ヘンデル「ハレルヤ」、エルガー「威風堂々」で華を添えました。
終演後、指揮者の栗田哲海さんが「この10年でここまで来ました」と感極まって涙ぐまれ、代表の中村素子さんら団員も聴衆もこみあげるものがありました。ともに歩んだ10年の歳月。客席には常に寄り添い、励まし続けた藤井英雄さん(元徳山海陸運送株式会社社長)の姿がありました。人が文化を育て、街に品格を与えます。
