コラム・エッセイ
回天記念館のデジタル化
翠流▼周南市大津島の回天記念館に託されている遺書や遺品など1,300点がデジタル化され、7月から館内のモニター画面で見ることができるようになった。「遺筆」「遺書」「遺品」などに分類され、所属や氏名、出身地からも検索できる。
▼人間魚雷「回天」は大型魚雷に搭乗員が乗り込み、敵艦に体当たりする特攻兵器。搭乗員の大半は20歳前後。106人が戦時中に亡くなっている。
▼デジタル化で、展示されていなかった遺書などを読むことができる。モニターのそばには遺影も展示されている。どんな心境で訓練に参加し、出撃の日を迎えたのか、一人々々についてその一端をかいま見ることができる。
▼インターネットでの公開予定はいまのところない。託されている手紙などはほとんどが私信。公開を前提に書かれたものではない。祈り、平和教育のために回天について語り継ぐという本来の趣旨とは違う使われ方をする可能性もある。慎重になるのは理解できる。
▼8月15日、回天記念館の前庭では徳山ユネスコ協会が「平和の鐘を鳴らそう」を開いて4人の中学生も含めて80人が参加した。ついた梵鐘は徳山東ライオンズクラブが1974年に建立。瀬戸内海で爆沈した戦艦「陸奥」の砲塔にあった「薬莢」の砲金が使われている。
▼戦後75年。たくさんの人の思いが込められて現在の回天記念館と周辺の戦争遺跡などがある。遺書などのデジタル化が訪れる人が増えるきっかけの一つになることを願いたい。(延安)
