コラム・エッセイ
うそ電話詐欺
翠流▼遠く離れて暮らす息子などを装うおれおれ詐欺に始まった「うそ電話詐欺」は巧妙化する一方。3月は県内でキャッシュカードを騙し取る、目を離したすきにカードを入れた封筒をすり替える手口による被害が10件発生し、県警本部生活安全企画課が2日、各警察署に「緊急対策」を指示した。
▼10件のうち下松警察署が2件、周南、光署が1件ずつと被害の4割を周南の3署が占めている。その中には21回にわたって1,050万円が引き出された被害もある。
▼詐欺は疑うことを知らない人ほどかかりやすいというが、今回の詐欺では事前に電話をしたあとスーツ姿の男が警察官や銀行関係者を装って自宅を訪問し、名刺や警察手帳らしきものを見せてカードを出させるというもの。ふだん、警察官などに接することがない一般市民の誰が疑うだろうか。
▼警察署は高齢者宅を訪問しての具体的な手口、被害防止策の周知、金融機関、コンビニエンスストアでの水際対策、無人ATMでの警戒などに取り組むが、被害者が何日も被害にあったことに気付かない場合もあるというのだから被害を防ぐことは難しい。
▼犯罪はどれも被害者やその周囲の人を傷つけるが、特に詐欺は人の正直さや善良さに漬け込む許せない行為。だまされた側が金額以上に自分が不用心だったと後悔するとしたら、こんなに残酷なことはない。被害者の傷を癒やし、被害額の一部でも救済する保険のような手段はないものだろうか。(延安)
