コラム・エッセイ
大津島の未来
翠流▼大津島に渡った。回天記念館の前庭にある人間魚雷「回天」による戦没者の石碑への高校生の墨入れと11月3日に完工式がある大津島回天神社の取材のためだ。
▼高校生がほぼ同じ年代で生きて帰ることのない特攻作戦に志願した若者たち一人々々の名前をなぞっていく。
▼大津島には3つの顔がある。人間魚雷「回天」の基地があったことによる慰霊と平和への祈りを発信する島は過疎と高齢化の島でもある。もう一つ、徳山港から20分、徳山湾に浮かぶ歴史や自然豊かな魅力あふれる島という面がある。
▼平和の祈りの発信では今年は1944年の回天の初めての出撃から75年目。回天神社の創建という大きな出来事があった。回天の戦没者に思いを馳せる場となることだろう。
▼過疎、高齢化対策、大津島の魅力発信の面では地道な努力が島の住民や島に魅せられて引っ越してきた若者、島の出身者などの連携で続けられている。島麦酒SUDAIDAIをきっかけにした島特産の柑橘「スダイダイ」の再生や、食堂の再開など目に見える形で成果が出始めている。
▼先日の取材で訪れた際は写真の撮影会も開かれていた。海のレジャーや散策するだけでも戦争遺跡、馬島の88カ所霊場など見どころは少なくない。11月10日は「回天」の戦没者追悼式、12月1日には大津島ポテトマラソンも開かれる。この島をどう発展させていくのか、回天の歴史の伝え方と合わせ、明るい未来があると信じたい。(延安)
