コラム・エッセイ
「ウィリアム・モリス」展
翠流▼「ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」展が周南市美術博物館で開かれている。ウィリアム・モリス(1834―96)は英国を代表する芸術家。「モダン・デザインの父」と呼ばれる。
▼会場には自然の花や動物などをモチーフにした壁紙や敷物、書籍など、モリスがデザインした作品が並ぶ。どれも100年から150年も昔のものだが、天然素材の染料で丁寧に染められ、色あせも感じさせない。
▼全体の構成はモリスの生涯を6章に分けてたどる。映像と、写真家、織作峰子さんの風景やモリスが住んだ家、工房などの写真がモリスの思想や活動の背景を伝える。
▼新型コロナウイルスの影響が続く。感染拡大では同館も一時、休館に追い込まれた。今年初の企画展。初日、学芸員の今井良枝さんは「心が疲れている時期、心に優しい展示で癒やしの時間を持ってほしい」と呼びかけた。
▼モリスが生まれたころ、日本は幕末。木戸孝允より1歳年下になる。亡くなった1896年は日清戦争の翌年。モリスのデザインが生まれた時期は大英帝国が産業革命で大量生産が可能になり、植民地を持ち、世界をリードしていた。
▼その中で手仕事や自然に価値を見出したモリス。日本の民芸運動にも影響を与えたという。時代の動きと無縁では語れない。世界や日本の歴史と重ねながら見ることで新たな世界が見えてくるかもしれない。12月20日(日)まで。「徳山の歴史」など常設展も一緒に見ることができる。(延安)
