コラム・エッセイ
変わらぬ志
翠流▼周南市和田地区の垰の升谷は川上ダムから和田に向かう途中にあった。浄土真宗本願寺派専照寺は約380年前の寛永5年(1638年)、この地に建立された。13日に第18世住職の継職奉告法要があった清水智啓師は29歳。この法要を祝って、過疎の集落に130人の縁者が参集した。
▼2017年から出身者などで実行委員会を作って準備してきた。世話をしてきた人たちは年配の人が目立ち、37人の稚児行列があったが、地元に住む子どもはいないという。
▼それでも盛大な法要が営まれた。父祖の地を離れても心のよりどころが不要になるわけではない。寄るべきふるさと、先祖が眠る寺があることは人生のどこかで支えとなる。そのために、次はこの稚児の親たち、更にはこの子たちが専照寺を支え続けることだろう。
▼専照寺は幕末、明治維新の激動の中で廃仏毀釈、神道国教化政策を厳しく批判し、西本願寺の改革に携わった傑僧、島地黙雷師を生んだ寺でもある。これから若い住職のもと、どんな道を歩むのだろうか。
▼同じ日、徳山駅周辺では周南みなとまつりが開かれ、萌えサミットには全国から1万人が集まった。前日の地酒横丁も大盛況だった。これらを支えたのはまちづくりに取り組むボランティア。若手が中心だが、地域を思う気持ちという1点は継職奉告法要を支えた人たちと共通している。高齢化、少子化に加えて情報化、国際化などで生活や仕事の環境は劇変を続けているが、この国には明治維新も実現させた変わらぬ志がある。(延安)
