コラム・エッセイ
祈りの島
翠流▼周南市の徳山湾に浮かぶ大津島に今年11月、回天神社が創建されることになった。周南コンビナートで知られる街から船でわずか20分ほどの地に戦争の実相を伝える特攻兵器、人間魚雷回天に関係した史跡と回天記念館などがある、これに祈りの場の象徴というべき回天神社が加わる。
▼建設予定地は馬島の巡航船の乗り場から記念館に向かう途中。観音像のすぐそば。船を降りて神社と観音様に手を合わせ、記念館で戦没者の遺影、遺書、遺品を見て慰霊碑の前に立ち、平和祈念の鐘をつき、見張り所跡が残る山を登って山頂のモニュメント「未来の風」がある展望広場からは回天の訓練海域でもあった海が一望できる。
▼山を下って回天の移動にも使われたトンネルを抜ければ大型魚雷の発射試験のために建設され、回天の訓練にも使われたコンクリート製の海に突き出す形の施設跡。
▼再びトンネルを抜けて回天神社に参拝し、そのまま帰るもよし、馬島を一周する88カ所遍路を歩いてより深く祈り、考えることもできる。
▼「祈りの島」は大津島の一面に過ぎないが、島外から人が訪れる大きなきっかけになっていることも確かだ。過去を振り返り、搭乗員や整備員、一緒に戦場に赴いた潜水艦の乗員、日本軍と戦った米国などの軍人、戦場となったアジアなどの国々の犠牲者を悼み、人類の未来につながる世界平和という大きな願いへの思いを新たにする場として、大津島回天神社の創建に期待したい。
(延安)
