コラム・エッセイ
まちづくりへ“連携”
翠流▼NPO法人しゅうなんまちなか保健室が開いたキックオフ講演会で、講師のマギーズ東京センター長の秋山正子さんの著書「がんと共に生きていくときに、知っておいてほしいこと」を買った。
▼マギーズ東京はがんの患者などが相談したり、くつろぐことができる施設。本はセンターで出会った人たちのことも紹介されている。中でも印象に残ったのが、がんを告知されて家族、友人、同僚などとの人間関係の見直しが起こり、周囲の人たちの支えが闘病の力になったという話だった。
▼しゅうなんまちなか保健室は、高齢や病気になっても誰もがいきいきと暮らし続けることができるまちづくりを目指し、誰もが相談や交流などができる「暮らしの保健室」を徳山の街中に開設する。講演会では関係団体の代表のシンポジウムが開かれ、ここでも連携の輪が広がっていることがわかった。
▼周南市では駅前再開発が2023年度中にも完成してまちづくりのハード面の整備が一段落する。周南公立大も来春には新学部、学科が開設される。まちづくりは携わる人、団体がどうやって力を合わせるかがこれまで以上に大きなポイントになりそうだ。
▼以前であれば人脈を生かした「根回し」や「飲みニケーション」だったろうが、時代は変わった。なれあいにつながる活動はもう受け入れられない。コロナ禍も落ち着いてきた。新たな担い手を含め、顔と顔を合わせて関係の再構築から取り掛かりたい。
(延安弘行)
