2026年06月26日(金)

コラム・エッセイ

周南人物列伝6

翠流

▼周南市美術博物館の企画展「周南の近代を彩った人たち周南人物列伝」の六回目は文化人編。二十六日に終了したが、俳人の久保白船(一八八四ー一九四一)を中心に親しかった防府出身の種田山頭火、田布施の江良碧松、徳山の画家、前田麦二、川上大二を取り上げて、地元密着の同館らしい内容だった。

▼白船は平生町の佐合島出身。旧制山口中学では絵画が得意で美術学校への進学が期待されたが、故郷に帰って“島守”となり、村会議員や水産組合長、青年会長を務めた。自由律俳句誌「層雲」の同人で、このころから山口中学の先輩でもある山頭火や碧松と親しく交流した。

▼一九二〇年に妻の実家があった徳山に移り、久保書店を営んだ。徳山文芸協会、俳句の「雑草の会」を主宰、徳山洋画協会も結成した。

▼会場には白船が描いた水彩画や句などの軸や色紙、河上大二の水彩画「映画会」「収穫」「夜桜」、徳山が終えんの地となり、麦二、白船らが世話をした岸田劉生の作品も並んだ。麦二が当時の徳山の街並みなどを描いた作品もあった。資料やパネルだけでなく、絵画などが並ぶことで見応えのある展覧会になっていた。

▼四〇年に山頭火が松山で亡くなった時、白船が駆け付けて葬儀をしたという。四一年に白船も亡くなる。徳山動物園前にある「踞れば、ふきのとう」の句碑が建立されたのは太平洋戦争中の四二年。早い時期の句碑建立から山頭火を喜ばせた白船夫妻の温かさは広く地域にも向けられ、徳山の近代史の一ページを彩っていたことがうかがわれる。(延安)

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