2026年04月17日(金)

コラム・エッセイ

(3)左近桜

補 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 ついに左近桜(さこんさくら)を見ることができた。もちろん、あの有名な京都御所の内裏(だいり)にある左近桜(さこんのさくら)ではなく、知る人ぞ知る岩国市錦町向畑(むかいばた)の地に咲く左近桜である。

 この左近桜は、「向畑の左近桜」として昭和59年(1984年)に岩国市の天然記念物に指定されている。樹高19・5メートル、根本周囲5.8メートル、枝張り26.5メートルといった立派なもので、品種はエドヒガン(江戸彼岸)である。

 そして、樹齢は700年以上とされている。桜の代表とされるソメイヨシノの寿命は60年から80年程度であるが、エドヒガンは数百年から千年を超えると言われる。それにしても、樹齢700年以上の桜は貴重である。

 さらに、貴重なものは樹齢だけに限らない。樹齢と同じように貴重と言えるのが桜の木に付けられた左近という名前である。その名前には、山間のこの地域がたどってきた長く厳しい歴史が記録されているからである。

 その名前を廣實左近頭(ひろざね・さこんのかみ)という。子孫にあたる広実家の家系図には天智天皇より十六代目と記されている。屋島の戦いで敗れた後、たどり着いた惣田の地を切り開いて住み着いたと言われる。

 40年近く前のことになるが、周南市須金地域の平家伝説を調べていた時に一度向畑を訪れたことがある。その時、地元の人に広実申しの話を聞くことができたが、残念ながら左近桜については聞くことができなかった。

 その後に右近桜があることを知ることになったが、そのままになっていた。今回、平家伝説を調べるうちにどうしても左近桜を見たくなった。そこで、もっとも安全で確実な方法を選び、徒歩で向畑に行くことにした。

 平瀬ダムの足瀬橋からおよそ4キロの道のりをゆっくり進むと、約1時間半で到着した。そして、斜面に咲く満開の左近桜を目の当たりにすると、700年以上にわたるこの地域の歴史とともに感動がこみ上げてきた。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

西京銀行

【取扱期間 2026年4月1日~2026年9月30日まで】お預け金額10万円以上。手続き不要!さいきょう定期預金の金利で満期後自動継続。詳細は西京銀行までお気軽にお問い合わせください。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

周南公立大学

2024年春、周南公立大学は新学部学科を開設しました。経済経営学部(経済経営学科)、人間健康科学部(スポーツ健康科学科・看護学科・福祉学科)、情報科学部(情報科学科)の3学部5学科体制となりました。大学の活動や入試情報も随時公開中!