2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

(6)古川跨線橋

補 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 ようやく古川跨線橋が、山陽本線をまたぐ元の位置に帰ってきた。まだ完成の姿になるまでには時間が必要であるが、それでも長かった空白の期間を埋めるかのように横たわっている姿には、安堵するものがある。

 振り返ってみると、通勤や通学、買い物など多くの人が利用していた県道347号下松新南陽線(旧国道)と県道172号徳山新南陽線(産業道路)をつなぐ古川跨線橋が全面通行止めとなってから、およそ6年が過ぎている。

 その間に、昭和39年(1964)に建設されて老朽化や耐震性が不足した古い鉄橋や橋脚、擁壁(ようへき)などが撤去された。そして、北側のヤードで新しい橋となるトラス橋の組み立てなどが着々と進められていた。

 令和8年(2026)2月7日の深夜、北側のヤードで組み立てられていた新しい橋となるトラス橋を線路上に移動させる「送り出し」の作業があった。その「送り出し」の様子は、23時から一般見学者に公開された。

 残念ながら、当日の公開を見に行くことはできなかった。およそ700トンの新しいトラス橋が1分あたり50センチというゆっくりとした速度で線路上に送り出される光景は、二度と見る機会がないことは明らかである。

 その様子をテレビや新聞などによって知ることができたのが、せめてもの幸いであったといえるであろう。しかし、こうした脚光を浴びる風景は非常に貴重ではあるが、熱しやすく冷めやすいといった傾向は否めない。

 古川跨線橋を身近に感じ取ることができる者としては、目新しく興味を引かれる風景よりも普段の風景を大切に見守っていきたい。また、危険な工事に日々従事する関係者の努力と苦労を忘れないようにしたいと思う。

 今後は、橋を移動させるためのレールとして設置されている架設桁(かせつけた)の引き抜きの作業が進められる。そして現在、かなり高い位置にあるトラス橋を、本来の位置にまで降下させる作業も予定されている。

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