コラム・エッセイ
(25)彼岸花
補 周南新百景 佐森芳夫(画家)![]()
秋分の日が過ぎて、ようやく朝晩に涼しさが感じられるようになった。猛暑であった期間の身体の重さが嘘のように軽くなり、どこからか体を動かそうとする気力が湧いてくるような気もするが、その反動も大きい。
その反動こそが、最近ではあまり聞かれなくなった「夏バテ」による体力の低下であろう。さらに、その「夏バテ」に追い打ちをかけているのが、気休めの一つとなっている家庭菜園に起きている新たな異変である。
以前、イノシシと思われる害獣に収穫前のすべてのサツマイモを食べられるといった被害を受けたことがあったので、イノシシに狙われるサツマイモを植えないことや菜園の周囲を金網で囲むなどの対策をしていた。
その効果もあって、最近はイノシシなど大型の害獣の襲撃を受けることもなくなっていた。ところが、今年の夏ごろから、種や苗を植えた場所が荒らされる被害や芽が出たばかりの苗が食い荒らされる被害が始まった。
これまでも、葉物野菜が害虫に食べられる被害は多くあったが、今回は異常と言える。大量に発生したショウリョウバッタがネットを無理やりかいくぐり、順調に育っていた大根の苗をすべて食べつくしてしまった。
さらに、おそらくイタチと思われる小型の害獣が金網のすき間から菜園内に入り込み、種を蒔いたばかりの場所を掘り起こしている。なにも、わざわざ種を蒔いたばかりの場所をと思うが、その思いが通じる訳がない。
何度も繰り返される被害に新たな対策を講じる必要があるが、「夏バテ」の身には限界がある。また、野菜を作らなければならない理由もない。そんな思いで、辺りを見渡せば彼岸花が咲いていないことに気がついた。
昨年は、猛暑のため開花が大幅に遅れていた。今年は、雨が降らなかった影響があるのかもしれない。国道434号沿いでは、朝の日差しを受けながら彼岸花が咲いていたが、その数は例年よりも少ないように感じた。
