2026年06月25日(木)

コラム・エッセイ

第百二十八手「プロ棋士の採用人数削減」

「碁」for it 小野慎吾

 4月15日に日本棋院が2028年度以降の棋士採用について人数・採用方式を変更するという通知がありました。内容は東京本院(東京)でプロ棋士採用試験をしていたのを毎年2人から1人の採用に変更、関西総本部(大阪)、中部総本部(名古屋)は毎年1人の採用から1年おきに1人の変更になりました。※関西総本部、中部総本部で採用しない年は関西総本部・中部総本部の統合試験を実施し1名採用(新規・1年おき)

 女流特別採用試験(女性対象)については毎年1人採用を2年に1度開催で1人採用に変更になりました。要約すると2027年度まで毎年全体で6人プロ棋士が採用していたのを2028年度からは4人になります。背景としては年々増え続ける囲碁のプロ棋士の人数を抑える意味だと考えられます。囲碁棋戦(大会)のスポンサー離れによる収入不足が要因でその動きは加速しています。プロ棋士の人数は関西棋院(日本棋院とは別組織)で約130名、日本棋院(東京本院・関西総本部・中部総本部)約320人のプロ棋士がいます。

 プロ棋士になった後は、本人意思でプロ棋士を引退しない限りはプロ棋士の資格は有します。昨今、囲碁棋戦の賞金は少しずつ減っている中、全プロ棋士に試合結果の元、対局料金が支払われます。賞金の総額は変わらない中、プロ棋士の総数は毎年6人ずつ増えているため(引退棋士がいない限り)プロ棋士の平均対局料金は少しずつ下がっている計算になります。

 将棋のプロ棋士は現役・引退合わせて230人を超える棋士がいます。(日本将棋連盟のデータより)将棋界と囲碁界の構造は似ているため、平均対局料金は当然将棋の方が高い理屈になります。将棋のプロ棋士の引退は本人意思の引退以外に対局結果が振るわない場合も、強制的に引退になるケースがあります。その分囲碁より引退について厳格である印象です。

 現在、プロ棋士を目指す養成機関「院生」は東京本院だけで40人以上おり、院生は今回の採用減のニュースはプロ棋士になるための狭き門になり、悲しいニュースと捉えているでしょう。現在、囲碁界は若手棋士を中心に世界大会で優勝する棋士も増えてきて日本の囲碁の強さが上がってきています。今回の動きは日本の囲碁の強さとは逆の動きになり、日本の囲碁が弱くなっていくのではないかと懸念されます。

 最近ではSNSで囲碁のプロ棋士が生活苦難であるという発信を見る機会が増えました。自身も囲碁を教える事を生業としているため、他人事ではありません。これから、囲碁のプロ棋士を目指す若者にとって明るい未来の業界になって欲しいと切に願います。改善案は筆者の中では数点あり、またの機会にそのビジョンを述べさせていただくかもしれません。

 囲碁界の明るい未来のために「碁」for it(頑張る)!

歳が離れていても真剣勝負

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