2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

(83)曼珠沙華

再々周南新百景 佐森芳夫(画家)

 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がある。その言葉は、まさに読んで字のごとく、夏の暑さも冬の寒さも彼岸を境に和らぐことを表している。その境となる彼岸は、春分の日と秋分の日を中日として年に2回ある。

 この中日の前後3日間をあわせた7日間が彼岸となる。春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さが同じになる日と一般的には言われているが、日付が決まっているわけではなく、国立天文台によって前年に発表される。

 今年の秋分の日は、9月23日であった。春分の日と秋分の日には太陽が真東から出て真西に沈むことから、極楽浄土に最も近い日と考えられた。それが、現在のように彼岸が先祖を供養する日に結びついたと思われる。

 彼岸の期間には、墓の掃除や墓参りをする人も多かったに違いなかったであろうが、今年の彼岸はいつもの年とは違っていたようである。そこには、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉を感じさせないほどの残暑があった。

 その影響を受けたと思われるのは、人間だけではなく、秋の彼岸の時期に咲くことから彼岸花とも言われる曼珠沙華の花もその一つであった。いつもの年よりも開花の時期が大幅に遅れるなど、様々な影響を受けた。

 身近なところでは、草刈りが原因となった可能性もあるが、彼岸花がまったく咲かなかった所や咲いた花の数が少なかった所、また咲いた花の鮮やかさが例年よりも劣っていた所などが数多くの場所で見受けられた。

 もちろん、例年と変わらず見事に咲いた場所も多くあった。知人からの情報を受けて訪れてみた周南市安田の県道8号徳山光線沿いでは、広い耕作地全体が満開を過ぎたばかりの曼珠沙華の花で埋め尽くされていた。

 所有者の方に話を聞くと、花を楽しんでもらうために25年以上も前に道路沿いに植えていた彼岸花が増えたもので、これほど見事に咲いたのは初めてとのことであった。来年は、満開の時期を逃さないようにしたい。

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