コラム・エッセイ
松岡さん、安らかに
周南漫歩◎「これ、松岡さんの記念品なんじゃ。ワシの宝ものじゃ」と見せてくれたのは、今から53年前、1971年の光市長選に36歳で立候補した松岡満寿男さんの選挙ポスターだ。持ち主は市内在住の松岡さんの友人。この当選で松岡さんは全国で2番目に若い市長に就任したのだった。
◎ポスターの掲示責任者には「貞兼一」とある。当時の貞兼氏は県議4期目で、のちに県議会議長に就任し県政の実力者になっていった。一枚の古いポスターが松岡さんを取り巻くいろんな歴史を語ってくれている。
◎それにしても松岡さんは政治家としてはもちろん、書道家、画家、陶芸家としても腕を鳴らした文化人だった。光市水道局の門の題字は松岡さんの筆によるものだし、市内に陶芸の窯が多かったのは松岡市長の影響によるところが大きい。
◎市立図書館の中庭に西鉄の路面電車を子どもたちの読書室にと誘致したが、今ではふるさとの大牟田市で観光施設になっている。それを取材した本紙の記事を松岡さんにお届けできず亡くなられたのは残念でならない。
◎松岡さんが市政や国政に残した足跡は、あまりに多くて、紙面がいくらあっても足りないぐらいだ。しかも温かく気さくなお人柄は、きっと長く語り伝えられることだろう。89歳で生涯を閉じた松岡さん、どうか安らかに。
(山上達也)
1971年の光市長選の松岡さんのポスター
