コラム・エッセイ
石田村?
ちょこっと豆知識 立入塾信号待ちをしていると、道路脇の美容院の看板が目に留まりました。信号が変わり、車を発進させながらその看板のことを考えていたら、はたとあることに気づきました。そして、以前も似たようなことがあったと、あることを思い出しました。
かつて私が会社勤めだった時のことです。石田さんという先輩が同じ部署におられたのですが、非常にマイペースというか、仕事に情熱が全く感じられませんでした。他の先輩曰く「石田さんはお金持ちだから仕事は暇つぶしなのだよ」とのこと。
いろいろ聞いてみると、石田さんが通勤に使っている高級外車も本人はもっと高いのが欲しかったらしいのですが、社長の車より格下になるよう気を使ってその車で我慢しているとか、自宅の庭で車のレースができるとか。なんでも、街外れの新興住宅地はもともとすべて石田さんの土地だったとも。最後に先輩は「だから、あの地区は石田村と呼ばれてるよ」と耳打ちしました。
それから数日後、会社の飲み会の帰りのタクシーでのことです。タクシーが信号で止まった大きな交差点は、ちょうど話に聞いた例の新興住宅地の入り口でした。ふと窓の外に目をやると、大きく「石田村」と書かれた看板が目に飛び込んで来ました。それを見つけた途端、酔いは醒めてしまいました。
後日、このことを先輩に告げると、「石田村」は冗談だからそんなはずはないと言われました。気になったので、会社の帰りに遠回りしてその交差点を通ってみました。交差点の角に大きなガソリンスタンドがあります。目にした看板はその横にあったはずだと注意深く見渡してみると、大きく「村田石油」とありました。見る場所によっては最後の「油」の文字が陰になって見えません。タクシーが止まった位置からだと確かに見えません。あの夜は酔いも手伝って、油の文字を飛ばして逆から看板を読んでしまったのでした。
さて、美容院の看板ですが、カタカナでマリア美容院とありました。しかし、どこかおかしい。そうです、正しくは「アリマ美容院」(有馬さん)でした。
