2026年05月15日(金)

トップインタビュー

雇用する側 される側の間で

人材派遣業「ぷらねっと」社長 岡田くみ子さん(61)

PROFILE

おかだ・くみこ
1957年名古屋市生まれ。南山短大卒。’82年周南市に転居。
ミシン、化粧品の販売経験を経て起業し’97年ぷらねっと設立。2000年法人化。

雇用する側の企業と、される側の労働者の双方を見渡せる立場にある派遣会社から見て、現在の雇用情勢はどう映っていますか。
 人手不足の影響は大きく、特に中小企業は人材確保に四苦八苦しています。賃金を上げないと人は集まらなくなりました。利益が上がって賃上げするのではなく、人がいないから上げるわけですから経営が圧迫される企業も出てきます。人材確保合戦は激しく、
 地域の中での取り合いどころか地域を超えての奪い合いになっています。
人手不足は労働者側にすれば労働条件の向上につながります。
 山口県の最低賃金は現在、時給802円ですが、ここ5年で100円上がりました。上げ幅は全国でも上位です。派遣先の企業も賃金交渉への理解が進んでいます。ただ広島県の方が依然高く(844円)、優秀な人材は広島など都市部に流れる状況は続いています。
労働者の意識も変わってきていますか。
 若い世代を中心に賃金よりも休みを重視する人が増えました。「稼ぎはそこそこでいいから自分の時間を有意義に過ごしたい」と。派遣労働は企業と派遣会社の都合で決まると言われがちですが、労働者のニーズもあることを知ってほしいと思います。
派遣労働者は3年以上、同じ会社・同じ部署に勤められない「3年ルール」があります。制度的には「3年たったら正社員に」という派遣労働者の雇用の安定を目的にできたのですが、現実は「雇い止め」が横行し、裏目に出ました。
 雇用期間が3年を迎えたら、派遣先企業に正社員として雇ってくれるよう依頼し、直接雇用に結び付けています。同業者の中でも高い達成率と自負しています。
そのためには企業が手放したくなくなる人材に育てなくてはなりませんね。
 人材はスキル、能力、資格も大切ですが、人間性とやる気がもっと重要です。育成はどうやって働くモチベーションを上げるかに力を入れています
 労働者を企業に派遣したら「ハイおしまい」ではなく、その後も丁寧にフォローします。モチベーションが上がらないのなら必ずそこに理由があります。それが分かるまで労働者からひたすら話を聞きます。理由が突き止められればあとは対応するだけです。病気と同じで原因が分かれば治療法がありますが、原因不明なら手の打ちようがありません。
 人材派遣業は典型的な対人間の仕事です。人間は意識を変えれば働く意欲が格段に増します。その過程を見届けられるやりがいのある仕事です。
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