2026年01月30日(金)

トップインタビュー

地域医療の拠点に

徳山医師会病院院長 森松光紀さん(78)

PROFILE

もりまつ・みつのり
1940年愛媛県宇和島市生まれ。東大医学部卒。
群馬大医学部助教授、山口大医学部教授、同付属病院院長を経て2004年から現職。

掛かりつけの開業医が患者入院後も主治医として診療に当たる全国でもユニークなオープンシステム病院として開院し53年がたちました。
 患者のことを最もよく分かっている掛かりつけ医が入院後も引き続き診療に責任を持ち、患者の安心感につながっていると思います。医師側にとっても手術ができたり、最新鋭の検査機器を使えたりし、自院での診療より高いレベルの医療サービスが提供できます。
 身近な1次医療と地域中核医療を担う2次医療の融合で、地域医療の在るべき姿と考えています。その役割が評価され、2001年に山口県で2番目、全国で36番目の地域医療支援病院に認定されました。
通常なら開業医は患者が入院すれば「後は病院にお任せ」となりますが、オープンシステムの場合、入院後も受け持ち、医師の負担が増します。
 医師は自院での診療をこなしながら時間外の朝、昼休み、夜に病院に来て入院患者を診察し、負担は軽くありません。医師会病院には10人の常勤専門医がいてサポート体制を取っています。開業医のニーズに耳を傾け、負担を軽くする支援体制を築かなければなりません。
地域医療と言うと山下内科(周南市)の山下武右医師が代名詞のような存在になっています。
 徳山医師会に登録する開業医は約120名で、そのうち40数名が毎月医師会病院を利用されています。そして自院の診療以外に、病院の患者の治療に日々当たられています。現在、病院には約240名の患者が入院され、その中で山下先生は最も多くの患者を入院させておられます。そして毎日のように病院へ姿を見せられ、深夜にカルテを書く姿をよく見かけ頭の下がる思いです。年齢は80歳を超えましたが、地域医療に懸ける情熱や信念は衰えていません。
 山下先生の後ろ姿を見て地域医療に貢献する志を持つ若い医師も増えてきました。自分の携帯番号を患者に知らせて「何かあったらいつでも電話して」と言葉を掛ける医師や24時間態勢で入院を受け入れる医師もいます。
医療情勢の変化は目まぐるしく、次の50年を簡単には見通せなくなりました。
 開院当初は「入院患者を長く受け入れる」というマイルドな意識で病院を運営していましたが、今は入院期間が制限され、限られた中で医療サービスを提供しなくてはならなくなりました。オープンシステムを通じて地域医療に貢献する根幹は今後も変わりませんが、医療サービスのレベルを落とさないよう医療情勢の変化に適応する必要があります。「地域医療に貢献すること」は「地域住民を大切にすること」。これを改めて心に刻みたいと思います。
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