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地域 : 光市のニュース
[この人に聞く]光地区消防組合・消防司令 川北 真三郎さん(45)
地域光市社会起業の理念を消防防災に
社会起業家講座で最高賞を受賞
周南創生コンソーシアムが主催した「社会起業家入門講座」の最終日の2月19日のプレゼンテーションで、受講した15人の互選で最高賞の「エンパシー賞」に、山口県光市光地区消防組合中央消防署の第3警備隊長兼警防第1係長の川北真三郎消防司令(45)=周南市安田=が選ばれた。消防の第一線で働く川北さんがどんな気持ちで社会起業家を目指して受講したのか、率直な気持ちを語ってもらった。(聞き手・山上達也)
社会の課題を「起業」で解決
――受講のきっかけは何でしたか。
川北 すばり、日刊新周南の記事です。もともとは中小企業診断士をしている妻が受講したかったようでしたが、都合で受講が難しいため私が代理で受けることにしたのです。
――それは意外な動機ですね。
川北 しかし私も社会起業家という役割には興味があり、妻の代理で受講すると同時に私自身もこの機会に勉強したいなと思いました。講師の社会起業大学の林浩喜学長は著名な方で、以前から存じていましたので、林学長の講義が受けられることも魅力でした。
――受講していかがでしたか。
川北 新型コロナウイルス感染症対策のため3回ともオンラインでの講演になり、対面で受講できなかったのは残念でした。しかし1回目の「社会起業家とソーシャルビジネス」▽2回目の「よりよい社会に向けたミッションとビジョン」は、いずれも消防や防災の世界しか知らない私には新鮮な内容でした。
――消防や防災のお仕事をされる中で、参考になるお話はありましたか。
川北 まずは「社会起業家」の概念です。社会の課題を事業によって解決するために社会問題を認識し、いい方向に変えていくために動いていく役割を果たす人を指すということです。ですから3回目の「共感と納得のプレゼンテーション」は受講者全員が発表し合って、互いにいい刺激を受け合いました。
「釜石の奇跡」を好例に
――消防と社会起業家はどうつなげていくことができますか。
川北 消防業務や防災指導で応用していくことができると思います。例えば東日本大震災での「釜石の奇跡」ではあれだけの大災害だったのに、日常の訓練と防災教育によって多くの生命が救われました。これは一例ではありますが、消防や防災に携わる者が「社会起業家」としてどんな役割を果たせるのか、世界共通の事例だと考えています。
――今後はどんな歩みをしていきますか。
川北 まずは消防行政の中にいる者としてできることから取り組みたいです。自主防災組織づくりもその一つですし、学校や企業での防災講演も必要です。さらに自宅のある地域活動など職場を離れた場での防災活動にも力を入れたいです。
――お忙しくなりそうですね。
川北 人生100年時代の中で、私はまだ45歳。これからの人生のステップが少しでも社会のためになるように努めたいです。受講のきっかけを作って下さった日刊新周南さんと妻には本当に感謝しています。もちろん受講の様子はすべて妻に伝えて共有していますよ。
【川北真三郎さんプロフィール】
勝間小、熊毛中、光高、岡山理科大卒。小中時代は野球部で、高大時代はラグビー部で活動した。1999年に光市や周南市熊毛地域、田布施町を管轄する光地区消防組合に採用され、警防課警防係長や予防課危険物係長などを務めた。現在は中央消防署の当直責任者を兼ね、人材育成にも力を入れている。趣味は読書と料理で、パスタづくりが得意。ひかり吹奏楽団の団長として7年目で、パートはサックス。自宅は8年前に購入した周南市安田の古民家で、三丘文庫など地域活動にも参加している。