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【下松】南北のまちづくりに貢献 下松駅“橋上化”60年に
地域下松市下松市のJR山陽本線下松駅が“橋上化”されてから12月2日(火)で60周年になる。橋上化まで駅の南側にしか出入口がなかった下松駅は、橋上化で駅の北側からも乗降が可能になり、駅南北のまちづくりに大きな役割を果たした。還暦を迎えた下松駅の橋上化の流れを追った。
(山上達也)
橋部分は市負担、駅部分は国鉄負担で完成
下松駅は1897年に開業。1989年に発行された下松市史によると、駅南は密集した市街地だった半面、駅北は排水の悪い湿田地帯で、夏は蚊が大量発生する非衛生な街を形成していたという。
そこで市は53年、駅裏(駅北)地区土地区画整理事業の推進を決定。当初は住民の反対にあったが、60年から53万3,678平方メートルの土地区画整理事業を3工区に分けて施工し、78年に完成した。施工区域は現在、大手町の一部と北斗町、古川町、青柳、琴平町になっている。
下松駅の橋上化は、この事業の進展に伴って実現したもの。市は北側に乗降口の設置と駅の南北を結ぶ橋の設置を国鉄に強く要望した結果、国鉄は小都市には珍しい橋上化を決めた。橋の部分は“市道橋上通り”として市が負担し、橋上の本駅部分は国鉄の負担として、65年12月2日、総事業費9,600万円(市負担2,720万円▽国鉄負担6,880万円)で完成した。
専用線で鉄道車両出荷時にはファン殺到
下松駅は2004年に防府市の山陽本線大道駅が橋上化されるまで39年間、県内で唯一の橋上駅だった。
橋上化で駅の南北の人の行き来が容易になり、南北双方の開発も進んだ。駅南は再開発ビルが成功裏に完成し、駅北も至便な交通の利点を生かしてマンションの建設が現在も続き、人口増が止まらない。
下松駅からは日立製作所笠戸事業所で生産される鉄道車両のために専用線が敷設され、甲種鉄道車両輸送列車の始発駅に指定。新型車両の出荷時には全国から鉄道ファンがカメラを手に、線路沿いに押しかけている。
下松駅の1日平均の利用者数は2000年に2,131人▽10年に2,190人▽20年に1,905人▽22年に2,042人とほぼ安定。19年に北口と南口の双方に市が、構内にJR西日本がエレベーターを設置し、バリアフリーが実現。トイレは南口、北口とも市が設置、管理している。
今年から駅員常駐を廃止し“無人化”
半面、今年5月1日から駅員の常駐が廃止されて“無人化”し、インターホンでの隔離対応に移行。構内には「駅係員は周辺の駅も含め、機動的に巡回し業務をしますので、下松駅に常駐いたしません」とのポスターが張られている。
還暦を迎えた橋上化の下松駅が駅周辺の活性化にどんな役割を果たすのか、その行く末は、今後ますます注目されていくだろう。
