2022年01月24日(月)

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記者レポート : 下松市のニュース

通学路を守れ!県警本部が撤去中止決定 200メートル以内の横断歩道撤去で住民反発 末武中校長の警察、自治会連への請願実る

  • 撤去案が浮上していた旧花岡保育園前の横断歩道

 通学路を守れ!―山口県内最大の中学校、下松市の末武中(浜崎美幸校長、900人)の生徒の約14%、約130人が自転車通学で利用している市道西条線の横断歩道が、近くの信号機の付け替えのあおりで撤去させる計画が浮上して1年。同校は下松警察署(大浴信正署長)と花岡地区自治会連合会(風井啓二会長)にこの横断歩道を撤去しないよう求める請願書を提出したところ、県警本部は2日、撤去しないことを決めた。下松警察署を通じて不撤去の通知を聞いた関係者は胸をなでおろしている。(山上達也)

3灯式信号に取り換えが発端

 この横断歩道は旧花岡保育園の前の市道を横断するもの。この市道は見通しのいい直線道路でスピードを出す車が多く、生徒にとって最も安全に市道を横断できるものだ。

 ところがこの横断歩道から約380メートル西にある「宮の前バス停先交差点」の1灯式信号機が3灯式信号機に付け換わることになり、昨年8月18日、花岡公民館で開かれた下松警察署の地元説明会で明らかにされた。

 3灯式信号機が稼働すれば信号機から半径200メートル以内に横断歩道は設けられず、同交差点と約97メートルしか離れていない下松花岡郵便局前の押しボタン式信号機がある横断歩道は、約260メートル先の花岡公民館前に移設することが示された。

 すると問題の旧花岡保育園前の横断歩道は花岡公民館前から約120メートルしか離れていないため、これも約120メートル東の花岡交番の近くに移設しなければならないことがこの説明会で示された。

横断歩道撤去で生徒の危険性高まる

 これに対して末武中の学校運営協議会(藤田典敬会長)が「この横断歩道は生徒の通学路の一部。移動させないでほしい」と異議を唱えた。今年10月4日には末武中が浜崎校長名で下松警察署の大浴署長と花岡地区自治会連合会の風井会長に、請願法に基づく請願書を提出した。

 請願書では「横断歩道が計画通りに撤去されると、約130人の自転車通学生は約120メートル東に移設される横断歩道まで移動した上で道路を横断し、再びもとの横断歩道があった場所まで西方向に戻る必要がある」「この道路は直線で通行する自動車が速度を出していることが多く、狭い歩道を多くの生徒が自転車で約240メートル往復することで事故の危険性が高まる」と訴えて、横断歩道の撤去と移動で生徒の危険性が高まると指摘した。

 請願書を受け取った花岡地区自治会連合会は市自治会連合会(田中豊会長)が市に11月24日に国井益雄市長に提出した行政要望書の中にこの請願書の要旨を織り込み、市から下松警察署や県警察本部、県公安委員会にこの横断歩道を撤去しないよう要請するように求めた。

 請願書は請願法第5条で「この法律に適合する請願は官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない」と位置づけられている。

末武中校長「生徒の安全へ横断歩道存続を」

 横断歩道を撤去しないでほしいと訴える地元の声の高まりの中、県警本部は「撤去しない」と方針を決め、下松警察署に通知した。取材に同署の吉山悦郎次長は「子どもたちの安全を第一に検討した」と話していた。

 横断歩道は歩行者が道路を安全に横断するために道路上に示されたゾーン。その横断歩道が利用者、とりわけ中学生に使いにくく危険性の高い場所に移動させることは、あってはならないことだ。

 浜崎校長は11月26日、本紙の取材に「本校生徒の安全な登下校のため、この横断歩道は撤去せず、現在の場所で存続させてほしい」と話していた。