2021年11月30日(火)

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時給2,800円!最賃の3.3倍 3市の選挙事務経費を比較 手厚い手当、民間と大きな差

 選挙の投開票事務に動員される市職員への手当はどれぐらいだろう?―民主主義の原点である選挙。有権者が国政や地方自治に意思表示をする大切な機会の選挙にどれだけの血税がつぎ込まれているのか。周南地域の各市の選管を通じてまとめた。(山上達也)

周南市はかつて時給を引き下げ

 まず驚くのは動員される職員に支払う手当の時給の高さだ。厚生労働省山口労働局が10月1日で改定した山口県の最低賃金は時給857円だが、周南3市の選挙事務従事者の手当の時給は2,300円〜2,812円。最高額と県最低賃金は約3.3倍の開きがある。

 この額は選挙執行経費基準法で「指標」として示されているもので、全国の自治体でほぼ同額の時給が採用されている。

 もちろん「指標」なので、この額を各自治体が「必ず採用しなければならない」わけではない。かつて周南市も島津幸男市長(現市議)が「職員に支払われる選挙手当の時給が高すぎる。せめて一般人の投票立会人、開票立会人の報酬額に合わせるべきだ」として市議選、市長選の職員1人当たり支給総額の引き下げを実行したが、島津市長の退任後、元の額に戻っている。

標準例で日給3万5千円

 10月には参院山口選挙区の補欠選挙と、衆院総選挙の投票日が1週間間隔で続いた。では一般的なケースで動員された市職員にはどれぐらい支払われているのだろうか。

 下松市の場合、午前7時から午後8時まで投票事務に従事し、開票事務に午後9時半から3時間従事した場合だと、手当の総額は単純計算でも3万4,800円になる。1日で3万4,800円の収入がある仕事は、民間ではほとんどないだろう。

 業務としては、投票事務は投票所での受け付けや投票用紙の交付など▽開票事務は開票所での開票作業だ。最近は投票用紙の計数機の機能が向上し、昔のように手で一枚一枚数える手間は省けるようになった。しかし市議選や参院選の比例代表選など候補者が多い選挙では、目視による票の分類が必要になり、マンパワーは完全には否定されていない。

 自治体側も動員数を最小限にしている。今回のケースでも衆院選より参院補選の方が動員数が少ないのは、参院補選が「1票」の選挙だからだ。衆院選だと小選挙区▽比例代表▽最高裁裁判官国民審査―と「3票」になるため、その分、動員数は増えざるを得ない。

 一方、投票立会人の報酬は、周南市の場合で1日1万900円以内。投票開始の午前7時から終了の午後8時まで従事しても、この額は変わらない。

有権者はもっと投票に参加を

 選挙は民主主義の基礎であり、中でも日本の選挙は普通選挙(一定年齢以上の全国民が有権者)▽平等選挙(一人一票)▽直接選挙(候補者や政党を直接選ぶ)▽秘密選挙(投票内容の秘密を保障)▽自由選挙(投票を強制されない)という「選挙の5大公理」が完全に保証されている世界に冠たるものだ。

 これだけ多額の人件費がかかっている選挙だからこそ、有権者はもっと投票に足を運ぶべきではないか。投票率は参院補選は36.54%▽衆院選は山口1区が48.50%▽山口2区が51.61%と、極めて低かった。

 自治体側も国の基準に「右にならえ」と従うのではなく、島津元周南市長の時のように人件費の引き下げを検討すべき時に来ているのかもしれない。