コラム・エッセイ
特技ご披露
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子今年も最後の月。職場を持つ者には、年末というと浮かぶ言葉は「働いた!働いた!働いた!!」の人もいるかもしれないが、オールド庶民に浮かぶ年末の季語は忘年会。
だがこの忘年会、近年若い人には、とかく職場の上下関係が持ち込まれる場に自費でなぜ参加しなければならないのかと不評で、全員参加は成り立ちにくくなったと聞いていたが、新型コロナ感染症期を機に様相一変し、若い人から参加希望が増える傾向が出てきたと報じられている。
感染症拡大による職場環境の変化で、社内の交流が少なくなって希薄になった人間関係を充足させたいという気持ちが膨らんでいるらしい。
忘年会といえば、開始儀礼のような、余り聞きたくはない上司の年末所感から始まって、わいわいガヤガヤの無礼講となるのが定番の流れで、その時に交わされるあの話この話が、職場の作業の流れには含まれない耳新しい話題になって人間関係補強の良い材料になっているのは、昔も今も変わらないのだろう。
忘年会の定番と言えばもう一つ、隠し芸披露。あの人がこんなことをこの人があんなことをと、いつもの職場の姿からは想像出来なかったような振る舞いに、この人にもこんなところがあったのかと、意外性と納得を兼ね備えた発見に繋がることがあって、忘年会見直しも良いことだと感じるが、若い世代の希望は隠し芸披露があるほどの大宴会ではないのかもしれず、こんなところにも世代間格差は出てくるのだろうと自省する。
隠し芸と言えば、この頃気になるのが、政治家の隠し芸披露のような私生活暴露。先日ある閣僚がお料理姿をSNS紹介していた。
秀才経歴で仕事一筋の策士の印象が焼き付いていた人が、満面の笑みで家庭料理を振る舞う姿が映されているのだが、あの人にもこんなところがと、知られざる一面を知らせる効果はある。これも忘年会の隠し芸披露の職場環境融和と同じ効果を狙ったものと思うが、議員や閣僚、いわゆる選良が災害地視察先や選挙期間中の選挙区で子ども達の頭を笑顔でなでているのと同じものを感じてしまう。
職場の上司なら、日常接して同じ目標達成に取り組む間だから、職場環境だけでは知られない意外な一面も知っておくことは日常業務に直接関係がある。だが、庶民が選良に求めるものは、共通の利益目標達成ではない。選良たちの役目は国民(庶民)の安全・安心の保障で、そのための政策の立案実行で、これ以外にない。
同じ職場で励むこともまずないから、隠し芸(特技?)など披露して親近感を深めてくれなくてもいい。政策立案・実行と並んで大切なことは、自分がそれを継続できる健康な体力の持ち主であることを示すことだから、ジムでトレーニングに励む姿や、血圧計や握力計を示しながら、これこの通り健康体ですと示してくれる方が、どのくらい安心し、信頼感増すかと思ったのだが、どうだろう。
(カナダ友好協会代表)
