コラム・エッセイ
No.13 藤屋侃士(下松市幸ヶ丘) 風鈴の音
一喜一憂 藤屋侃士7月半ばに梅雨が明けた途端に猛暑がやってきた。
テレビでは、冷房を使い、水分をしっかり摂取し、外出を控えるようにと呼びかけている。
暑さを和らげてくれる風鈴の音。最近はあんまり使われなくなったそうだ。特に、都会のマンションでは、涼と安らぎを与えてくれるはずの風鈴の音が、騒音として扱われてしまうこともあるとのことだ。風情がなくて寂しい気もするが、住環境の変化を考えると仕方がないことかもしれない。
この風鈴の音。電話では聞こえないという。電話で伝わる音の周波数は、約300から3,400ヘルツ。これは人の声の周波数が基準となっていて、男性の声は約800ヘルツ、女性はやや高く約1,200ヘルツぐらいなので、それらの音がしっかり聞こえることで決まっているそうだ。
風鈴の音は高音で、1万ヘルツ以上。そのため電話では聞こえないということらしい。風鈴の音だけではない。スズムシやコオロギの鳴き声は、4千ヘルツ以上あって、こちらも電話では聞こえないそうだ。
電話は人の声を伝えるために、人工的に作られたものであることを改めて感じさせられた。
我が家の風鈴は今夏も健在である。15年ぐらい前に、東京に住む長女からもらったガラス製の風鈴で「江戸風鈴」と呼ばれるもの。ガラスの内側から絵付けがしてあるので、何年たっても変わらない姿で美しい音を奏でている。
「江戸風鈴」は、江戸時代から続く伝統工芸で、職人によって丁寧に手づくりで製作されている。吹きガラスの厚みや形で微妙に音色が異なり、2つとして同じものがないのも魅力になっている。
テラスに掛けている風鈴は2つ。1つは、3匹の金魚が泳いでいる昔ながらの柄で、金魚は鯉と同じく天に昇って龍になるといわれる縁起の良い、金運上昇の縁起ものでもあるそうだ。
もう1つは、カエルで風鈴そのものがカエルの形になっていて、中から丁寧に緑に色付けされている。カエルは「福が還る」「無事帰る」と語呂を合わせて、無病息災の縁起ものだそうだ。
カエルの風鈴に比べて金魚の風鈴の音は、ずい分高音で、2つ一緒に響く音は涼しげで美しい。ただ、日中は冷房をかけて締め切っているので、風鈴の音を楽しむのは、夕方涼しくなってからだったりするし、風が強い時はガラス製で心配なので家の中に避難(ひなん)。21世紀の我が家の方法で「江戸風鈴」を下松で楽しんでいる。
金魚の柄の風鈴
カエルの形をした風鈴
