コラム・エッセイ
No.2 寒さの中、味噌づくり
一喜一憂 藤屋侃士「底をつく寒さ」と久しく聞かなかった言葉を思い出した。1年でもっとも冷え込む時季になる大寒を迎えた。
老いの身には、今年の寒さは身にしみた。春が待ち遠しい。そんな時季だからこその恵みもある。いわゆる“寒の水〟(かんのみず)と言われるもの。1年でもっとも冷たく澄みきった水とか。この清らかな水が日本酒や味噌、しょうゆの仕込みにはかかせないそうだ。みそ作りを得意な友人が言っていた。
今は日本中の酒蔵や味噌、しょうゆ工場は仕込みの真っ最中かもしれない。日本酒は春先に、味噌、しょうゆは秋過ぎに仕上がる。妻の友人の奥さん連中も4、5人が集まってこの時期味噌作りに精を出している。
うちは2人で生活しているので、おすそ分けで十分足りる。老いの身には大豆を煮て、つぶすのはひと苦労。去年からは、知恵を出し合って、大豆はミキサーでつぶすようにしているとか。それでも手づくりはうまい。今年もおすそ分けを期待している。
《初地蔵(はつじぞう)》
久しぶりの春のような陽気につれられて、5歳を迎えた孫と散歩を楽しんだ。
若いころ、子どもたちを連れて歩いた山道のドングリの木も大木になり、大・小のドングリが道に転がっていた。今は、孫が「ドングリが帽子をかぶっている」と喜んで拾っている。
少し行くと田んぼのあぜ道に出る。道ばたの祠(ほこら)で、穏やかな笑みを浮かべ私たちの訪れを見守るかのようなお地蔵様と出会う。今日は新年はじめてのお地蔵様との出会いの日、名付けて「初地蔵」。孫はいつ覚えたのか直立不動の姿勢で手を合わせていた。
「何って祈った?」と聞くと、「パパとママが病気をしませんように」と言った。
この道を通った旅人や、お百姓さんや学童たちも手を合わせて何らかの願いを託したであろう。特に育児や健康のような身近な生活をこのお地蔵様に願ったりしたのであろう。
各地方で「子育て地蔵」とか「身代わり地蔵」と言ったものが愛されているようだ。暮らしや悩みに寄り添うお地蔵様が各地にある。現代化し、何でも便利で効率のよい面が強調される昨今、少し遠回りでも、ゆっくりを味わうのもよい。
曰く“急がば回れ”。
手づくりに勤しむ婦人
春が待たれる
最近のみそ汁
