コラム・エッセイ
No.16 キューガーデン展とイギリス陶磁器
一喜一憂 藤屋侃士8月末まで周南市美術博物館で開催された「キューガーデン展」は美しく緻密な植物画が中心だったが、もう一つの魅力は18世紀後半の陶磁器だった。
キューガーデンの拡張と発展に寄与したのが国王ジョージ3世の妻であるシャーロット王妃で、彼女が愛したウェッジウッドや王室御用達(ロイヤル・ウォラント)のダービーやウースターの陶磁器が展示されていた。
ロイヤルクラウンダービー、ロイヤルウースターのほうが聞き慣れた名前だ。ロイヤルウースターのロイヤルは1789年に国王ジョージ3世からイギリス陶磁器界初のロイヤル・ウォラントを授与されたことに由来する。ロイヤルクラウンダービーのクラウンは1775年にジョージ3世からの栄誉であり、こちらのロイヤルは、1890年にビクトリア女王からだそうだ。
シャーロット王妃のお気に入りのウェッジウッド。シャーロット王妃は、日常使いのクリームウェアの食器の製作をウェッジウッドに依頼した。完成品をとても気に入った王妃は「クイーンズウェア」の名前を贈った。今回の展示された「蓋付きの深皿(クイーンズウェア)」は、柔らかい白地に緑で植物が描かれた美しい物であった。
また、ウェッジウッドの有名な作品の一つで20世紀の終わり頃まではバックスタンプにも使われてきた「ポートランドの壷」もインパクトがあった。
いずれも18世紀末の陶磁器だが、大切に使われてきたことを感じさせられ、時代を超えた存在感があった。良い物を長く使い、物を大切にするイギリスの文化を垣間見たようだった。
イギリスではどこの町にもチャリティーショップがある。福祉団体、国際協力団体など様々な非営利団体がチャリティーショップを運営し、ボランティアスタッフが活躍している。人々は、自分が寄付をしたい団体のチャリティーショップに不用になった物を持ち込み、それらが売れたら寄付となる。バザーではなく、常設店舗で、ディスプレイも工夫されている。
長女はイギリスに行くたびに「社会を知るため」と称してチャリティーショップ巡りをしており、土産物は、「年代物のイギリスの陶磁器」だったりする。
ウェッジウッドの小物入、バラの模様の小皿、ミレニアムプレート。ロイヤルウースターの花の小皿。こんな土産物もあった。
これら海を渡って日本まで来たチャリティーショップでの戦利品は、福祉活動などへの寄付にもなっている。
そして、日本で行くことのできた展覧会への想いをより豊かにしてくれる。
ガラクタが増えるのは困ったことだが、ストーリー性のある物と共に生活するのも悪くない。
1960年代後半のウェッジウッドのバックスタンプ
ウェッジウッド
ロイヤルウースター
