コラム・エッセイ
コスモスのシール
翠流▼周南市文化会館の事務室で、コスモスの花のシールをもらった。同館では毎年11月に同市出身の詩人、まど・みちおさん(1909-2014)の作品を幼稚園、保育園児が歌う音楽会が開かれている。
▼ところが新型コロナウイルス感染症の影響で開くことができなくなった。そこで出演するはずだった子どもたちのために作ったのがこのシール。「コスモスのうた」はまどさんがふるさとの子どもたちのために作った詩で、音楽会でも歌われる。
▼たくさんのコスモスが咲く情景を「ともだちと みんなで/手をつないで/あそんでる」、「あおぞらを みあげて/みな はればれと/うたっている」と描いている。
▼まどさんは旧徳山町西辻に生まれ、祖父と徳山で暮らした。10歳から両親や兄、妹のいた台湾に移り、34歳で応召、シンガポールで終戦を迎えた。戦後、「コドモノクニ」「チャイルドブック」の編集をしながら詩を作り、50歳からは創作に専念。104歳で亡くなるまで詩を作り続けた。
▼音楽会では「ぞうさん」「一ねんせいになったら」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」など誰もが歌ったことのある歌が次々に登場する。
▼2年にもおよぶマスクを手放せない生活。コロナ禍が学力だけでなく、情操面でも子どもたちに与えた影響ははかりしれない。そんな中で、シールがふるさと出身の詩人が作品を通じて伝えたかったことにふれる機会につながってほしい。
(延安)
