2026年01月29日(木)

コラム・エッセイ

永地秀太のこと

翠流

周南市美術博物館で1月7日から2月20日まで開かれる予定だった「自画像展」は明治から現代まで、著名な画家100人の自画像を一挙に鑑賞できる展覧会だったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で休館になり、1月13日で打ち切られた。

その山口県ゆかりの画家を紹介するコーナーに、同市で亡くなった岸田劉生や、亡くなる前の劉生に師事した前田麦二、その教えをうけた宮崎進らとともに、下松市出身の永地(ながとち)秀太(1873-1942)の自画像が展示されたことを休館後に知った。

永地秀太の名前を聞くのも初めてだったが、自画像展の図録によると、下松に生まれて徳山中学を卒業。上京して絵画を学び、1902年の太平洋画会の設立に参加。陸軍中央幼年学校で教え、文部省在外研究員として渡欧後の22年からは東京高等工芸学校の教授に就任した。

残念ながら市美術博物館には永地の作品は所蔵されていないが、下松市内では所蔵している小学校があるらしく、県立美術館は所蔵しているそうだ。今回の自画像展の出品作は29年に描いた、ネクタイ姿で縁の丸い眼鏡をかけた真面目そうな姿。永地の作品に触れる貴重な機会だった。

休館後、市美術博物館では急きょ、職員が展示作品を撮影した動画をYouTubeにアップし、図録などの販売も続けて反響があったそうだが、休館にならなければ、郷土ゆかりの画家への関心が高まる機会になったかもしれない。

(延安弘行)

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