2026年06月28日(日)

コラム・エッセイ

周南市の「一升ます」

翠流

▼新年度が始まった。周南市の今年度の一般会計の当初予算は661億9,700万円。この10年では庁舎建設や徳山駅周辺の整備など合併特例債を使った建設事業で予算額が膨らんだ年度を除けば最大規模となった。

▼小中学校の校舎や通学路改修、新南陽、鹿野総合支所の新築、動物園のリニューアルなど進行中の事業は少なくない。子育てや高齢者福祉も手厚い。市民にとってはありがたいことだが、合併からの約20年で造った施設の維持管理費もある。今年度は職員数も増えた。2年後には100億円前後の周南緑地公園の整備も加わるかもしれない。

▼北部拠点施設や老朽化した市民センターの建て替えも続く。建て替えた建物には職員も配置しなければならない。子育てに限定していたボートレース事業の繰入金の用途も拡大した。年間30億円にのぼる繰入金だが、どこかに消えてしまいそうだ。

▼合併特例債が適用される15年間が過ぎたあとは支出を厳しく制限しなければならないと言われ、保育園の民営化など施設の再配置も進めてきたはずだが、どこまで効果があったのか。職員数は合併後に減らしたが、市長は「足りないという声も聞いている」と今回の増員の理由を述べる。

▼池波正太郎に「一升ますには一升しかはいらぬ」という随筆がある。戦後の日本の経済成長を「一升のマスへ二斗も三斗も入るという過信を抱き、むりやりにそれを押し込んでしまった」と看破している。

▼これからは人口が減少し、「一升ます」が「8合ます」へ小さくなる時代。財政の硬直化、破綻といったことにならないよう、合併から20年目の今年はこれからの周南市を冷静に考える年にしたい。

(延安弘行)

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