コラム・エッセイ
物語を紡いで
翠流▼山口県周南市の徳山駅北口駅前広場周辺で27日、しゅうなん地域マーケットが開かれた。市内を中心に地元の産物を展示即売するイベント。おいしいものもたくさんあり、三丘文庫のパンや、大道理のまんかい弁当、漁師さんの会社、大兵食品のハモカツ、ソレーネ周南のコロッケを食べた。
▼「おいしい」の要素には、それぞれの商品開発や起業の経緯など「物語」の一端を取材を通じて知っていることもある。34店が並んだが、それぞれに物語があり、いくつかは日刊新周南の紙面でも紹介してきた。店を軌道に乗せるまで、商品ができるまでのさまざまな出会いや、苦心がこもっていると思うと味わいも深くなる。
▼同じ日、徳山駅前図書館でNPO法人しゅうなんまちなか保健室による講演会があった。同法人が街中への開設を目指す「暮らしの保健室」の建築デザインがテーマ。講師の建築デザイナーの山﨑健太郎さんが最後に話したのが、完成した施設の運営に協力するなど、利害、損得を超えた「徳」による支えと、「縁」の大切さだった。
▼施設や会社や団体の運営にとどまらず、まちづくりも「徳」と「縁」で支えられていると見ることができるかもしれない。全国各地でまちづくりが進められている。その中でも徳山駅前は図書館などが整備されてにぎわいが戻り始めた。再開発が進行中で、全国的にも注目される存在になりそうだ。物語が生まれ、物語と物語が交差し合い、紡がれて街が育っていく。これからが楽しみだ。
(延安弘行)
