コラム・エッセイ
武家屋敷、山田家本屋
翠流▼山口県周南市湯野の県指定文化財の武家屋敷、山田家本屋(やまだけほんや)が2003年9月に現在地に移築復元されてからの入館者が20万人になった。コロナ禍を乗り越えて国民宿舎湯野荘に替わる新施設の建設などが進むなど活性化を目指す湯野温泉の観光の目玉の一つ。この機会にこれまで以上に訪れる人が増えてほしい。
▼湯野地区は藩制時代には萩藩の重臣、堅田家の領地。その家臣の山田家の屋敷は戸田の山陽道沿いにあった。堅田家の一代家老など重職を任せられ、堅田家の当主に随行したり、命じられて江戸や大阪に何度も出向いたという。
▼最近、改修を終えたばかりの大きなかやぶき屋根、室町時代の趣が残る構造だけでも一見の価値がある。しかしそれだけではない。山田家に残る手紙類からは幕末、討幕に至る長州藩の動きに伴い、さまざまな人が山陽道沿いになった山田家に立ち寄ったのではと推測もできる。
▼藩制時代中期に建てられた山田家本屋の座敷。ここに座ったであろう、幕末の要人、志士の姿を想像することもできる。庭をながめながら明治維新に思いを馳せるといった楽しみ方もある。
▼同館の運営は地元の保存会が引き受けている。展示品や建物、歴史についての解説を聞くこともできる。月曜を除く毎日、午前10時から午後4時半まで、会員が交代で応対にあたっている。
▼地元の人ならではの温か味がうれしくなる。しかも、見学は無料。温泉に入りにいった前後にでも立ち寄ってほしい。
(延安弘行)
