コラム・エッセイ
まどさんからの手紙
翠流▼周南市出身の詩人、まど・みちおさんの没後10年にちなみ、3月末まで中央図書館にまどさんを紹介するコーナーが特設されていた。そこにまどさんの詩と一緒に徳山小学校の子どもたちにあてた手紙が掲げられていた。まどさんが84歳の時に書いた手紙だ。
▼「みなさんが いま/ぜんりょくを あげれば/それは もう/できないことは ありません」と全力で頑張るよう呼び掛けている。食べ物がなくて死にそうな人が数えきれないほどいることや、戦争が絶えないことをあげ「ちきゅうぜんたいを/すくって ほしいのです。」と訴えている。
▼何度も出てくるのが「ぜんりょくを あげて」の言葉。子どもたちへの呼びかけだが、まどさん自身が全力で生きてきたことをうかがわせる。
▼まどさんは1909年生まれ。9歳で家族のいる日本統治下の台湾へ渡るまで祖父と過ごした徳山時代が詩の原点になっているといわれている。土木技師として働きながら童謡を創作、戦後は子ども向けの雑誌「チャイルドブック」の編集に携わり、童謡「ぞうさん」などを作詞した。50歳から童謡・詩の創作に専念して国際アンデルセン賞などを受賞、2014年2月28日に104歳で死去した。
▼この手紙は「まどさんからの手紙 こどもたちへ」のタイトルで本になり講談社から出版もされている。4月は進学、進級の時期。学校内に張り出すとか、この手紙をまどさんが育った周南地域の子どもたちにプレゼントできないだろうかと思う。
(延安弘行)
