2026年09月18日(金)

コラム・エッセイ

(23)タイワンタケクマバチ

補 周南新百景 佐森芳夫(画家)

 数年前から、ヘチマを栽培している。栽培とは言っても、家庭菜園を囲っている害獣対策用の金網の下に、種を蒔くだけである。その種も、買ったものではなく、前年収穫したヘチマから取り出したものに過ぎない。

 手入れは、気が向いた時に周辺の草を引く程度で、ほとんどほったらかし状態である。それでも、病気になることも害虫にやられることもなく、フェンスにそってツルを伸ばしていくと、やがて黄色い花を咲かせる。

 毎年、咲いた花を見て感じるのは、ヘチマの花の不思議さである。一つの株に、雄花(おばな)と雌花(めばな)がある花は特に珍しいとは言えないが、雄花には数個の花序(かじょ)があり次々に花を咲かせている。

 まさに、咲いても実を結ばない無駄花(むだばな)であるが、花はそれだけではなく、朝咲いて夕方には散る一日花(いちにちばな)でもある。しかも、黄色い花弁は、直径が十センチにおよぶほどの大きさになる。

 その一方で、雌花は花のつけ根に小さく長い実をつけて花を咲かせる。同じ株のうえで営まれるこれらの生態には、理解不能な矛盾を感じるが、そこには幾多の困難を乗り越えてきた叡知が込められているに違いない。

 今が盛りと咲き誇るヘチマの花に寄って来るのが、大型の蜂の一種であるクマバチである。ずんぐりした体形や毛で覆われていることなどからクマの名前がつけられたと思われるが、見かけによらず性格はおとなしい。

 最近、花の蜜を吸っているクマバチの中に、背中が黄色い毛で覆われている在来種のキムネクマバチとは違った黒色をした蜂がいることに気がついた。さっそく、調べてみると予想だにしない結果を知ることになった。

 その蜂の正体は、全国に分布を拡大している外来種のタイワンタケクマバチ(台湾竹熊蜂)であった。山口県でもすでに確認されているらしいが、周南市の住宅近くにまで繁殖が及んでいることに、強い衝撃を受けた。

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