コラム・エッセイ
[ベトナム] 円安実感
周南漫歩◎3年ぶりのベトナムは、もはやコロナ禍を克服しているかのようだった。街ゆく人も半分以上はマスクをしていない。なのにベトナムでの感染率は日本を下回っているのだ。
◎NPO国際ボランティアIMAYAの一員として第15回スタディツアーに参加したが、筆者にとっては、自分やメンバーがコロナに感染しないか▽入院中の高齢の母は大丈夫か▽台風で予定通り帰国できるのか▽腹にできた粉瘤(ふんりゅう)というシコリが悪化しないか―という不安を抱えながらのベトナム訪問になった。
◎コロナ感染という最悪の事態を想定し、海外旅行保険はベトナム政府が推奨する医療費が1万ドル以上のものに入り、着替えは半月分も持参した。母に万一のことがあれば緊急帰国できるようにシミュレーションもしたが杞憂に終わった。台風で帰路は出発が3時間も遅れたが、それだけですんだのはよかった。粉瘤は医師の指示通りに毎日処置し、症状の悪化は防げた。
◎平和の大切さ、尊さを感じたツアーでもあった。統一前の南北分断線だった北緯17度線のベンハイ川は、今では何の変哲もない一本の川に過ぎない。偶然に出会った近くの小学校に通う子どもたちは、黄色い帽子をかぶって、自転車に乗りながら屈託のない笑顔を見せてくれていた。きっと47年前のベトナム戦争終結、南北統一までは、ありえないことだっただろう。
◎それにしても円安で、日本円の力が減退していることを実感した。日本円をベトナムの通貨「ドン」に両替しても、米ドルのレートと連動しているからか3年前より早いスピードでなくなるのだ。ベトナムの物価は本来安いものだが、円安がそれを感じなくさせている。通貨の力は、すなわち国力だ。これからの日本は国際社会でどんな立ち位置になっていくのだろうか。
◎強烈な庶民パワー、道路いっぱいのバイク洪水、おいしい料理、親切でフレンドリーな国民性は3年前と変わっていなかった。人口が間もなく1億人に達する元気あふれるベトナムの行く末が、ますます楽しみになったベトナム訪問だった。
(山上達也)
