ニュース
経済 : 下松市のニュース
【山口県】特殊肉盛溶接の精度向上へ 高畑鉄工・第3工場新設で下松市と協定
経済下松市下松市内では今年度5社目の締結に
山口県下松市山田の金属工作機械製造業、高畑鉄工(高畑厳己社長)は28日、第3工場の稼働開始に伴う進出協定を同市と締結した。第3工場は本社の隣地923平方メートルを買収して建設したもので、10月1日から稼働し、同社が誇る特殊肉盛(にくもり)溶接技術を生かした生産用機械器具の補修事業を展開する。
同社は1968年に資本金1千万円で高畑国男氏が創業した。89年に法人化し、今年4月に国男氏の孫の厳己(げんき)氏(42)が4代目の社長に就任した。従業員は23人。本社と周南市須々万本郷に工場がある。
年間売上高は2021年12月期決算で約3億5千万円。主な取引先は東洋鋼鈑、鋼鈑工業、日鉄テックスエンジ、東邦契島精練、リックスなど。
第3工場は鉄骨平屋620平方メートルで今年4月に着工。設計は北斗町の武居設計事務所、施工は北斗町の百合建設工業。土地や建物、機械設備を含む総事業費は約2億8千万円で、うち6千万円は国の設備再構築補助金を受けた。
第3工場では金属製の工作機械部品に銅合金などを焼き付けて強度を増す「特殊肉盛溶接技術」の工程を集中させ、精度の向上を図る。今後は5年計画で女性を含む9人程度を地元から新規雇用し、売上高も5億円まで伸ばしていく。
この日は市役所で県商工労働部の縄田浩之企業立地統括監を立会人に協定の締結式が開かれ、高畑社長と国井益雄市長、縄田統括監が調印した。市からは玉井哲郎副市長、鬼武輝明経済部長▽高畑鉄工から高畑雄己(ゆうき)常務が同席した。
高畑社長は「長年培った経験と技術力に加え、工場増設と複合旋盤の導入で品質向上、納期の短縮を実現し、地域経済の活性化に貢献したい。将来はロボットなど最新テクノロジーを活用し、先進的な取り組みで従来の鉄工所のイメージを刷新し、多様な人材の活用を目指していく」とあいさつした。
国井市長は「地域経済活性化のため、できるだけの支援をしていく」▽縄田統括監も「市と一体となってさまざまな取り組みに協力していきたい」とあいさつした。
同市では今年度に入って、日立笠戸協同組合に加盟する黒磯製作所、山下工業所、日柳製作所、清和工業が工場新設や設備増強で市と協定を締結している。しかし高畑鉄工は主要取引先が東洋鋼鈑で、日立系だけでなく東洋鋼鈑系にも工場増設の動きが広がっていることが浮き彫りになった。