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[この人に聞く]初の女性署長に就任 光税務署長 砂見有香さん(56)
地域光市山口県光市と田布施町、平生町、上関町を管轄する光税務署の署長に砂見有香さん(56)が着任した。光税務署にとって初の女性署長で、県内でも山陽小野田市の厚狭税務署で一昨年から2人続いた女性署長に次いで3例目になる。山口県内での勤務は初めてという砂見署長に、署長としての抱負や光市の第一印象などを聞いた。
(聞き手・山上達也)
光は「自然が豊か、温かい人柄」
―着任のご感想はいかがですか。
砂見 署と目と鼻の先に海(虹ケ浜海水浴場)があることに感動しました。自然がとても豊かで、美しい街というのが光市の第一印象です。温かい人柄の方がたくさんおられる街だとも感じました。
―署長としてどんな考えでこの税務署を率いていきたいですか。
砂見 10月1日からインボイス制度が導入されますが、それには税務行政への信頼があってこそです。こちらのからお願いばかりではなく、しっかりした信頼関係を作っていきたいと思います。
―税務署としてやるべきことをやっていく先に信頼が生まれるということでしょうか。
砂見 そうですね。ほとんどの方はきちんと納税される一方で、そうでない方も一部おられます。そういう人たちに毅然とした姿勢で調査、徴収していくことは税務行政の基本ですし、そこから信頼が生まれてきます。
―時代とともに納税の方法も変わりつつあるのではないですか。
砂見 全国的に税務署の職員数は減り、効率化が求められています。e―Taxなどネットによる申告納税も普及していますが、使っておられない方、知らない方にもしっかりお伝えしたいです。
―署員の有効活用につながりますね。
砂見 そうです。ネットによる納税が増えれば、その分、職員を調査、徴収業務に振り分けられますし、納税者には便利さが、我々も業務の効率化というメリットがあります。
資産税畑で相続税の調査も担当
―ところで女性の署長さんは光税務署では初めてですね。
砂見 光税務署では1947年の初代署長就任以来、52代目の私が初の女性署長です。県内では3人目になります。広島国税局管内の中国5県には50の税務署がありますが、今年度は7署が女性の署長なんですよ。
―そもそも税務署に入ったきかっけは?
砂見 大きな志があったわけでもなく、試験を受けたら合格したと。(笑い) しかも当時の女性観では、女性は結婚したら寿退職が当然でした。それが辞めるどころか、こんなに長く勤務して…。
―税務署勤務で印象に残っていることは?
砂見 資産税関係の仕事を長くしました。あるご家庭に相続税の調査に行くと、ご主人を亡くされた奥様の目が泳ぎ、あるところに視線が動くんです。「そこを開けてみてください」というと隠された現金がありました。
―それはまるでドラマみたいですね。
砂見 当時は「女性が税務調査に来るの?」と言われた時代で、調査関係はごっつい男性がすると思われがちでした。生命の次に大切なお金を相手にする仕事ですし、ご遺族としてもご両親が残された財産に執着がある中で「ここまで聞かなければいけないのか」という気持ちになる時がありました。
―光市民と3町の町民の皆さんへのメッセージをどうぞ。
砂見 管内をよく知るために隅々まで足を運んで、たくさんの皆さんとお話をしたいです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

[プロフィール]
砂見有香(すなみ・ゆか)さん
1966年、鳥取市生まれ。鳥取東高を卒業して税務職員に採用された。2018年に米子税務署副署長▽19年に大阪国税局課税第1部国税訟務官▽21年に広島国税局課税第1部資産評価官▽22年に岡山県の新見税務署長に就任した。趣味は散策とドライブで、光税務署の目の前の虹ケ浜海岸を歩くことがお気に入り。松江市の自宅に夫を残して署長官舎で単身赴任。